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 アビス(逆行ミュウ)

 拍手でヘタリア2で「サディク→菊←ヘラクレス」ありましたよーとコメントいただきました。

 マジで?

 何その美味しい話! 早く見たいけれども、本屋から電話来ないから買いにも行けない・・・。


 そしてせっかくアビステキストサーチを更新したのだからとアビス小話書いてみる。
 自分でも妙にお気に入りで、評判も良い逆行ミュウによる仲間調教話の続きです。
 ジェイドが可哀そうな目にあってますが、それでもよろしければ下を押してくださいませ。
 ティア視点です。







「ミュウアタアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーッッッッック!!」
「ぐはっ・・・・・・!!」
 天高く舞う青い服の軍人。
 それを見ていたティアは非常に強いデジャヴに駆られる。
 ああ、あれで地面に激突すると痛いのよね・・・・・・と、何処か遠い目で目の前で繰り広げられるご主人様至上主義のチーグルによる粛清を見ていた。




 大好きな兄がとんでもないことを仕出かそうとしていることに気づいたティアは、兄を止めようと必死だった。
 兄がしようとしていることは世界的な犯罪だ。
 もしまかり間違ってそれがなされれば、確実に世界は大混乱に陥る。
 それを止めさせたくて、必死に考え追い詰められていたティアの取った行動は、兄が犯罪を犯す前に自分の手で殺す為、キムラスカ公爵家への侵入であった。
 身分も低い、ただのダアト軍人が真正面から行ってもファブレ家に入れるとは思っていなかった。だから無茶を承知でユリアの譜歌を使い、屋敷の人間を眠らせてその間に兄を殺そうと思ったのだ。
 屋敷に入ったのも、屋敷の人間を眠らせたのも、後で謝れば許されると思っていた。
 むしろ自分は世界的な混乱を未然に防いだ功労者となるのだから、許されて当然だと思っていたのだ。
 それが。
 兄は殺せず、どころか公爵子息との間に起こった擬似超振動でマルクトまで飛ばされ、当初ティアが考えていた計画から外れに外れてしまった。
 計画が上手くいかなかった苛立ちと、不測の事態に対する不安。それらを抱えたティアはそれでも気丈に物事に取り組もうと思ったのだ。
 事故とはいえ、公爵家の嫡男を巻き込んでしまったのだから、自分が責任を持ってバチカルまで送ろうと。
 2人で力を合わせれば、谷を抜けることもできるだろう。木刀を持っているということは多少は剣術ができるということだ。実戦経験がないというのならば、自分が上手く導いてやればいいだけだと、そう思っていたのだ。


 それが、根本から間違った考えであったのだと思い知らされたのは、見た目可愛らしい仔チーグルの鉄拳制裁によってであった。
 見た目だけならば、ティアが悶絶する程に可愛らしいあのチーグルは、外見に反して中身はそれはもう素晴らしくドス黒い。
 何処が怖いかって、あの外見でティアが今まで聞いたことがない程の罵声を平気で浴びせかけてくることだろうか。
 しかも炎やアタックつきで、だ。
 如何に自分が「なんちゃって軍人」であったかを思い知らされ、どれ程恥知らずで非常識な行動を取ったかを理解させられたティアは、それまでの自分の価値観を木っ端微塵にされ、プライドはずたずたに引き裂かれた。
 あの可愛らしい声で「生きてる価値も最早ありませんの。おめーの命を金に換えたらアップルグミすら買えませんのー」とせせら笑われた時の絶望は、決して忘れやしないだろう。
 正直、心が折れかかった。
 ぶっちゃけ手頃な木と縄と木箱があれば括っちゃってたかもしれない。自分の首をきゅっと。
 そこまでの絶望を味合わされ、精神を狂わせかけたティアが、何故正常でいられるのかというと。


「なあティア。あの眼鏡助けなくていいのか? 思いっきり血吐いてるけど」


 くいくいと自分の服を引っ張ってくる、この赤毛の青年のおかげだったりする。
 猛獣に粉々にされたあれやこれで、精神的に彼岸に逝きかけたティアに優しい言葉をかけてくれ、何くれと無く気遣ってくれた彼がいなければ、恐らくエンゲーブに辿り着く前に死んでいただろう。色んな意味で。
 きょとりと小首を傾げ、こちらを見つめてくる彼は実年齢以上に幼く見える。
 それもそうだろう。聞いたところによると、彼は7年前に誘拐され記憶を無くして赤ん坊同然の状態で保護されたのだという。
 ならば、例え見た目が17歳の青年であっても、中身は7歳の子どもだ。
 そんな彼の無垢な優しさに癒され、ティアは何とか今を生きている。
 接する時間が長くなればなる程、ティアはこの赤毛の青年に魅了されていった。
 とにかく、べらぼうに可愛いのだ、彼は。
 可愛いもの好きとしては「メルヘンゲェェェェーーーーーットォォォォッ」と、叫びたくなる程に。
 当然ティアの彼に対する対応は、丁寧かつ真摯なものに変わっていた。
「ああ、ルーク様。それは・・・・・・・・・」
 そこで言葉を切り、未だに青い悪魔のサンドバッグと化している軍人を見やる。
 彼は殆どというか、まったく抵抗出来ずにただひたすら殴られ続けていた。
 見れば佐官位だろうに、そんな人間すら太刀打ち出来ない程に強いチーグルマジ怖ぇと思いつつ、ティアはそんなバイオレンスからそっと視線を外す。
 あのチーグルが人に攻撃する理由はたった1つしかない。
 つまりは、主人が貶されたり、不当な扱いをされた時だ。
 そして先程の、あの軍人の馬鹿にしきった彼に対する態度を思い出し、ティアはふっと彼にばれないように冷笑した。


 あの眼鏡の自業自得じゃねえか。


 つまりは、そういうことだ。
 ティアはきゅっと彼――――ルークの手を取り、安心させるようににっこりと笑う。
「ご心配には及びません、ルーク様。彼は当然の報いを受けているに過ぎないんですもの」
「そーなのか? でもちょっと可哀そうじゃねえ?」
「お優しいルーク様にはミュウが行っているアレは少し刺激が強いかもしれませんね。でも、これも必要なことなのです。それだけのことを彼はやっているんですから」
「ふーん・・・・・・」
 それでもまだ不安そうな眼差しをするルークに、ティアは畳み掛けた。
「それに、彼はマルクト軍の高官ですよ。魔物とはいえ、まだ子どものミュウの攻撃でどうにかなる程柔ではないでしょう」
(・・・・・・ライガクイーンを一撃で退ける程の破壊力だけれど)
 そう。死にはしないだろう、死には。
「そっか・・・・・・そうだよな!」
 ティアの言葉に安心したのか、ルークはにっこりと満面の笑みを浮かべた。
 ティアもルークに笑みを返しながら裏で「メルヘンゲッツ」と拳を握り締め、これ以上ルークの視界に粛清される眼鏡が入らないようさり気に立ち位置を変える。
 視界の端に呆気に取られる導師と脅える導師守護役、蒼白になって固まるマルクトの兵士達が見えたが、今のティアにとっては瑣末な事柄に過ぎなかった。



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