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 アビス

 日記を書く暇もなくクリムゾンをプレイしていたダメ人間です。こんにちは。
 エドワルド、ミハエル、ジャスティンを攻略しました。
 ミハは別格として、ジャスティンのグッドエンド超いい!!
 あれが一番幸せな収まり方なんじゃなかろうか。エドワルドにとってもジャスティンにとっても結構いい終わり方じゃないかな。
 ジャスシエいいよジャスシエ。ジャスティンルートミハエルの存在が薄かったのもよかったかも。
 ミハエルはあらゆる意味で別格なので、彼が絡むと他が霞みまくる。
 現在ランビュール攻略中。何かドデカイ秘密持ってそうな細目だ。


 さて、久々の小話。
 拍手に書こうとしたんですが、ぶっちゃけ必要ないシーンなので削った部分です。
 でも長いから勿体なくてここにぶちこむ。

 「泣かない王様が泣いた日」のサイドストーリー的な何か。ジェイド視点です。


 暖かい日差しが室内に差し込む午後、外はまさに春の兆しを見せていた。
 草木も芽吹き、花が優しい色合いをつけて咲き誇る。
 番いを見つけ愛を語り合う鳥たちの可愛らしい鳴き声は、これからが本番だろう。
 そんな長閑な季節だというのに、とある室内は極寒のブリザードが吹雪いていた。


「あの放蕩殿下め・・・・・・絶対に帰ってきたら殴ってやる・・・・・・っ」


 山と積まれた書類を捌きながら、ジェイドは呪詛のように一応己の上司でもある男に対し毒を吐く。
 彼が不在となれば、必然的に書類が全てこちらへと回ってくるのだ。
 自分自身の仕事もあるというのに、その上あの馬鹿の分の仕事までもがジェイドへと伸し掛かってくる。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 納得がいかない。
 非常に納得がいかない。
 どうして己があのどら殿下の尻拭いをしなくてはならないのか。
「理不尽だ・・・・・・・・・」
 一向に減らない書類の山を見ながら、ジェイドは思わず遠い目になる。
 おまけに、己がこうして必死になって仕事をしているというのに、あの風船頭がエンゲーブで呑気に林檎を貪っているのかと思うと、腸が煮え繰り返るようだ。
 ふと書類から顔を上げ、窓を見やるとそこには番いだろうか、小さな2羽の小鳥が仲良く空を飛んでいた。


「・・・・・・・・・・・・・・・」


 ・・・・・・鳥になりたい。
 瞬間的にそう思ってしまい、己が結構ヤバい所までキていることに気付いた。
 自嘲気味な笑みがジェイドの顔に浮かび上がる。
「あの馬鹿に仕事をサボらせないような薬の開発でも・・・・・・いや、つける薬がないから馬鹿なのか・・・・・・」
 若干言動が怪しくなってきた。
 それも無理はない。
 彼の幼馴染みにして、マルクト帝国皇太子殿下という御大層な肩書きを持つ男―――ピオニー・ウパラ・マルクトが宮殿を脱走して早7日。
 その間ジェイドはほぼ不眠不休で書類を片付けているのだから。


 昔からやる気のない男ではあったが、3年前のあの時から余計にその傾向は増した。
 突然目を輝かせ、隣国に不法国侵入を果たして赤毛のレプリカ掻っ攫って来いと言われたあの時はとうとう気でも触れたのかと慌てたものだ。
 そして更に出向いた先に彼の言う「赤毛のレプリカ」など存在せず。
 いや、実際には造られた形跡はあるのだが、どうした訳かレプリカは作られてすぐに消滅したらしい。
 装置からこっそりと情報を盗み見たのだから間違いはないだろう。
 そのことを伝えた時のあの幼馴染みの顔を、ジェイドは一生忘れられない。
 絶望した人間というのは、こんな
表情を浮かべるのだろうかと思わせる程に、ピオニーの消沈ぶりは凄まじいものであった。
 あの後から、今迄にも増してピオニーの怠けぶりは酷くなったのだ。
 気が紛れるならばと始めのうちは容認していたが、既に3年の時が過ぎている。
 流石にもうそろそろ大目に見る訳にはいかない。


 自分でエンゲーブまで迎えに行ければ一番手っ取り早いのだが、如何せんそうすれば書類を処理できる人間が誰もいなくなってしまう。
 本来であれば皇太子が見るべき書類を、佐官位を持つとはいえ、王族でもないジェイドが処理できるのがおかしいのだが、そこは恐怖の
死霊使い、突っ込める勇者は誰もいなかったりする。
 と、いうよりは彼が書類を捌けなくなれば別の意味で死人が出そうなので、あえて誰もが見ないふりをしているのだが。
 そんな訳で自分では行けないジェイドは、若いながら中々優秀なフリングス大佐に迎えを頼んでいた。
 責任感の強い彼のことだから、早々にピオニーを連れ戻してきてくれるだろうと思って送り出したのだが、どうしたわけか一向に戻ってくる気配を見せない。
 首都グランコクマからエンゲーブまでは確かに遠いが、途中セントビナーに立ち寄っているにしてもまだ遅い。
「・・・・・・まさか逃げられでもしたとか・・・・・・いや、ピオニーもそろそろ戻らなければ差し支えが出るのはわかっているはずだが・・・・・・」
 思案に暮れていると、ドアがノックされる音が聞こえた。
「―――入れ」
 ジェイドが許可を出すと、1人の兵士が部屋に入ってくる。
 ジェイドの記憶が正しければ、彼はフリングス大佐と共にピオニーを迎えにいった部隊の兵士ではなかっただろうか。
 帰ってきたのかと内心安堵の息を漏らすと、兵士はジェイドに向かい一礼した。
「フリングス大佐よりカーティス大佐宛てにこちらを預かってまいりました!」
 そう言うと兵士は敬礼したまま1通の手紙を差し出してきた。
 帰還しているであろうに、わざわざ手紙を寄こすことに不審を抱きつつも、顔には出さずに受け取る。
「・・・・・・ご苦労。下がっていい」
「はっ! 失礼致します!!」
 兵士が去って行ったのを見送ってから、ジェイドは手紙を開いた。
 そして、その手紙の内容に、目を見開き絶句する。


「・・・・・・・・・・・・・・・」


 ワナワナと震える手で、思わず手紙をぐしゃりと握りつぶす。
 フリングス大佐からの手紙には、こう書かれていた。
 曰く





 ―――・・・・・・殿下が、ロリコンに、なられたようです。と―――





「・・・・・・・・・・・・・・・」
 インディグネイションか。
 インディグネイションなのか。


 いっそ臭いものには蓋という先達の知恵を拝借したくて堪らないジェイドだった。






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