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緋色の欠片
緋色を知らないという方は見てもわからないという不親切設計で突き進みます。そして訳わからん小ネタです。
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先程まで真弘達をこてんぱんに伸していたアインとツヴァイが、いとも簡単に地面に叩きつけられる。
倒れたアインの背中に片足を乗せ、珠紀は嫣然と笑った。
「・・・この程度であたしに立ち向かうなんて片腹痛いわね」
「ぐはっ・・・」
ぐり、と乗せていた足に力を込められ、アインがうめく。
「ア、アインとツヴァイをここまであっさりと倒すとは・・・」
アリアもフィーアも呆然と珠紀を見つめている。
ドライも僅かに戸惑った様子を見せていた。
叩きのめされたツヴァイは余程の攻撃を受けたらしく、ピクリとも動かない。
「つ、強ぇ・・・」
ボロボロの真弘が青褪めながら呟く。
人外の強さを見せていたアインとツヴァイを、この少女は体術のみで倒したのだ。
守護者達も顔面蒼白になりながら珠紀を見やる。
「まったく・・・せっかく美鶴ちゃんと清乃ちゃんという美少女2人に囲まれて月見酒としゃれこんでいたのに。あたしのお楽しみの邪魔をした罪は重いわよ。覚悟なさいそこの眼鏡」
「私限定か!? い、いやいや! ここにいるモナドの命に従い我らはいるのだぞ!」
「うるさいわね。何であたしが美少女予備軍と美女に敵意を向けないとならないのよ。彼女達は免罪に決まっているでしょう。その分あんたとここで伸びてる木偶の坊どもが罰を受ければいいのよ」
「理不尽じゃないか!?」
とことんまでに美少女・美女贔屓な発言をする珠紀に、その場にいた全員が一瞬引いた。
彼女1人で今いるロゴスの精鋭達を片付けられるのは既に純然たる事実だ。
アインとツヴァイという、戦闘能力に特化した男達を術も使わず拳のみで地に伏した少女に誰が敵うというのだろう。
ドライとて400年を生きる強大な魔力を持つ魔術師(マグス)だ。ここにいる誰よりも己は強いと自負していた。
だが、どうした訳かこの少女に関しては一切勝てる気がしない。
恐ろしいまでの力を感じるのだ。この少女に。
そしてそれはとてつもなくヤバいものだとドライは直感する。てか、この少女存在自体ヤバい。絶対。
まさか極東の島国に己を脅かす存在がいようとは。
「さて。美少女予備軍とそのお付きの美女はあたしが保護するとして、やっぱり対外的にも悪役って必要だと思うの。鬼斬丸の封印にここまでのダメージを与えられてごめんなさいではすまないもの」
にっこり。
未だにアインの背中に片足を乗せた珠紀は天使のように微笑んだ。外見がなまじ美少女なだけに性質が悪い。
生きた災厄がそこにいた。
「な、何を・・・・・・」
じりじりと後ろに下がるドライに、珠紀はそれはそれは美しい笑みを浮かべ、いつの間にか発動させていた封印術をドライの周囲に張り巡らせる。
「なっ・・・!!」
「ちょうど良かったわ。あなたもなかなかの魔力を持っているじゃない? 鬼斬丸がどうやら気に入ったみたいなの。あなたを鬼斬丸と同じ封印域に封じたら完全に封印してもいいって言ってくれたから」
「誰が!?」
「鬼斬丸。あたしには理解できないけど、あの刀老け専の男好きなのよ。あなたは理想だったみたい」
よかったわねと呟く珠紀に、もはや誰もついていけなかった。
老け専てなに。男好きって鬼斬丸が!?ってか、鬼斬丸って意思あったんスか、それと交信なさってるんですか珠紀さん!
「これも世のため人の為。あら、ロゴスの信念にも適するじゃない? 素晴らしいわね自己犠牲。あなたのことは代々語りついでいくわ。邪悪に染まった鬼斬丸の封印をそのケツで守った老人として」
「いっいやだあああああああああっ!」
・・・こうして世界は平穏を取り戻した。ドライの虚しい叫び声が、いつまでもその場に響いていたのだった。
・・・どこまで珠紀を崩せば気が済むんだろう。でも美少女好きで、全てのものの判断基準を美少女かどうかで決める最強玉依姫を書きたかった。