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 うずまき逆行伝その35






  ホリック最新刊が色んな意味で熱すぎる。百目鬼がナチュラルに四月一日を中心に世界を回してるのが素敵すぎる。
 民俗学の教授の助手という立場を選んだ理由が「普通の仕事についてると四月一日の仕事手伝えないから」とかもう、もう・・・・・・っ!!


 もうお前ら結婚すればいい。


 式には呼んでくれ。


 











 びっしょりと掻いている汗が、どれ程の悪夢をサスケが見たのかを知らせている。
 ナルトはサスケをそっと抱き締め、悪夢から救い出す為にサスケの名を呼んだ。
「・・・・・・サスケ、サスケ」
 ぎゅっと寄せられた眉。まだまだまろい輪郭の、幼い少年。
 否、少年とすらまだ呼べぬ程に幼い子供は、嘗ての「うずまきナルト」が焦がれて止まなかった存在だ。
 ずっと孤独と戦ってきたナルトが、いつも遠くから見つめていた存在。
 自分とは違い周囲は彼にとても優しく、彼は大切にされていた。
 姿を見せれば疎まれた自分とは逆に、一人で生きる彼に寄せられる視線はいつも暖かなものだった。
 幼かったあの頃。
 自分と同じ「一人」なのに、周囲から大事にされるサスケが、羨ましくて。妬ましくて仕方がなかった。
 しかしサスケはいつでも、周囲を拒絶していた。差し伸べられる手を跳ね除け、きつく睨みつけ、孤独を選ぶサスケを、ナルトは嫌っていた。
 嫉妬していたと言い換えてもいい。
 自分がどれ程求めても得られないものを持ちながら、与えられながら、それを傲慢に捨てるサスケが、どうしようもなく羨ましくて妬ましかった。
 なんて贅沢な奴なんだ、あそこにいるのが自分ならば。そう思い、いつも睨んでいた。
 嫌いながらも、ナルトは周囲を拒絶し一人で生きるサスケから目が離せなかった。



 だが、それが誤りだったのだと気付いたのは、いつだっただろう。


 直ぐに気付いた気もするし、随分後になってからだったような気もする。
 いつも見ていたから、気付いた。


 サスケが本当の意味で、自分と「同じ」なのだと。


 周囲はサスケに優しかった。いつでも同情的で、助けの手を差し伸べていた。
 しかしそこに含まれる感情は、決して優しいとは言えるものではないのだと、いつしかナルトは気付いたのだ。
 憐れみ、好奇、媚を含んだそれは、下手をすれば嫌悪や憎悪よりも深く深く、幼い心を傷つける。
 それを理解したナルトは、サスケの為に涙した。
 これすらサスケにしてみれば、屈辱だろうと解りながら。
 それでも流れるものを止める術など見つけられなかった。
 サスケは望んで孤独を選んだ訳ではない。
 孤独しか選べなかったのだと知り、ナルトは涙した。
 そして薄暗い歓喜も、確かにその時に宿ったのだ。
 ああ、彼は本当に自分と「同じ」なのだと思うと、嬉しくて。
 勝手に親近感を持ち、勝手にライバル扱いし、そして愚かな自分は、真にサスケを理解し得なかったのだ。
 勝手な思い込みだけで仲間になったと、サスケの特別な存在になれたのだと浮かれ、胡坐を掻いた結末が、あれだ。
 ついに交わらなかった己とサスケの道。
 最後の最後には、ほんの少し解り合えたのかもしれない。
 少なくとも、ナルトそうであったと信じたかった。
 けれど胸にぽっかりと空いた穴は、やはり生涯埋まる事はなかった。
 愛したヒナタとの間に子が出来、孫が出来、数多くの友人や仲間を、そして里の人間からの信頼を得ても尚埋まる事のなかった穴。
 それを唯一知るヒナタはいつも笑っていた。


 わたしのライバルはサスケ君なのと、少しからかい気味にいつも言っていた。


 あの人生を後悔した事は、一度としてない。
 だが、未練があるとするならば、やはりナルトはサスケの名を上げるだろう。
 サスケを救いたいとか、そんな高尚なものではない。
 ただ、ナルト自身がサスケと共に歩む道を、生きてみたかったというエゴの為に。
 今のサスケを身代わりにするつもりは、ない。
 けれども、このサスケに身を焼きつくすような孤独を味わせるつもりも、なかった。





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