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 ナルト

 土曜夜に具合が悪くなり、日曜は寝て過ごそう・・・と、思ってたんですが、実際目を覚ましたのが夕方の5時でびっくりしました・・・。
 どんだけ寝るんだ私・・・。
 おかげで体調は良好です。やはり獣も人も大概寝りゃ治る。


 そしてそんなしんどい中、夏目友人帳とアビスの放送時間が重なった為、目覚ましかけて根性でアビスを見たんですが、やたらとアッシュが出張っててウゼえっ!! ・・・と、即行で消しちゃいました。
 何かもう、ね・・・。ティアが悲劇のヒロインぶってんのも、アッシュが孤高の戦士ぶってんのもイラっときて。
 やはり公式なアニメを見るのはアンチ仲間派は私にはきついものがあるようです。せっかくルークが動いてんのに・・・。
 でも話は面白いですよね。葛藤しながら読んでます。


 さて、うずまき逆行伝続きです。

 見ちゃろという方は下からどうぞ。






「・・・・・・わしも、年を取ったの・・・・・・あんな獣如き・・・・・・ぐっ・・・・・」
 ごぼりと、血の塊が口から飛び出る。
「喋るな! 今医療班を・・・・・・!」
「・・・・・・馬鹿モン。死にかけとるジジイに・・・・・・っ・・・・・・回す・・・・・よりも、必要と・・・っは・・・・・・しとる、里の人間に・・・・・・回さんかい・・・・・・」
「アンタが1人で倒しちまったからな、被害はそれ程出ちゃいねえ。ってか、アンタが今この里で1番重症なんだよ!」
 1人でカッコつけやがってと毒づく青年に、してやったりと言わんばかりにナルトはにやりと人の悪い笑みを浮かべた。
「ふふ・・・・・・爺に手柄を取られるとは・・・・・・っ・・・・・・情けないの・・・・・・」
「ならジジイはすっ込んでりゃよかったんだよ! 俺だって倒せたんだ!! テメーは後ろで・・・・・・っ・・・・・・見ててくれりゃよかったんだ・・・・・・!!」
 ボロボロと隠しもせずに大粒の涙を零す青年に、優しく笑いかける。
 最後の気力を振り絞って、その黒髪を撫でた。
「・・・・・・っ」
 口では散々楯ついてくるこの青年が、孫の中でも己に1番懐いてくれていた。
 可愛い、可愛い己の孫。
 まだまだ危なっかしい所はあるが、きっと悪友の孫達がフォローしてくれるだろう。
 己が嘗て彼らにそうされてきたように。
 それを見届けることができないのが、唯一の心残りと言えるだろうか。









「―――ナルト」
 担がれるようにしてやってきたのは、己が唯一頭の上がらないご意見番だ。
 矍鑠とした姿は年をとって皺だらけになろうとも、サクラ色をしていた髪が真っ白になろうとも、やはりナルトには眩しく映る。
 己の初恋で、同志であった女性。
 己に治癒をかけようとするのを、ナルトは目で制した。
 ナルトの仕草に眉を顰め、その後すぐさまはっとした顔で息を詰める女性に、ナルトは笑みを作る。
「・・・・・・ナルト」
 彼女にもわかったのだろう。
 己が、今何を抱えているのかを。
「サクラのばあちゃん! 何モタモタしてんだよ、早くジジイに治療を・・・・・・っ」
「―――それはならん」
 苛立ちを抑えもせずに叫ぶ青年に、しっかりとした声でナルトが否を返す。
「っんで・・・・・・っ」
 睨む青年に見えるように、ナルトは腹を擦った。
 サクラと呼ばれた老女は、静かに俯いている。
「・・・・・・じーちゃん・・・・・・」
 懐かしい呼び名で呼ばれ、ほろりと綻ぶように笑みが零れた。
「・・・・・・あの獣は、わしが・・・・・・このまま、連れていくでな・・・・・・」
 完全に倒すことのできない程に、強力な力を持つ獣。
 今の世には、その力は欠片程も、必要ない。
 必要のないようにと、仲間達と頑張ったのだから。
 遺しては、むしろ害にしかならないだろう。


 だから、連れていく。


 九尾と獣を道連れに。それが火影としての己の最後の役目。
 忍としての、最後の任務だ。


「っがは・・・・・・っ!!」
「ナルト!!」
「じいちゃん!!」
 これで、本当にもう終わりだろう。
 既に聴力は失われている。
 聞こえないはずの無音の中で、彼らの悲鳴が聞こえた気がした。
「・・・・・・木の葉を・・・・・・頼むぞ・・・・・・」
 そう、言えることがどれ程幸せなことであるか。
 後を任せることの出来る人間がいる。
 なんという幸福。
 今ならば、笑顔で死んでいった先代や3代目の気持ちが良く解る気がした。
 己の死を悲しんでくれる人がいる。
 泣きじゃくる孫と、唇を噛んで涙を浮かべる大切な女性。
 絶対に守ると、親友と約束をした彼女を泣かせてしまった。
 これではぶっきらぼうで尊大で、でも不器用で優しかった彼の友に、「このウスラトンカチが!」と向こうについたら怒鳴られそうだ。
 思ってまた、笑みが深くなる。
 それも、楽しそうだ。
「サクラ、ちゃん・・・・・・先に・・・・・・あいつに・・・会ってくる・・・・・・ってばよ・・・・・・」
 久しくしていなかった呼び方と口癖が、自然と口から出ていた。
 懐かしい物言いに、サクラは涙を零しながら笑ってくれる。
「・・・・・・この薄情。すぐに私も行くわ。・・・・・・先にサスケ君に怒られてなさい」
「・・・・・・サクラちゃんは・・・・・・ゆっくり来てくれると、うれ・・・・・・しい・・・ってば・・・・・・」
 もうずっとしなくなっていた、悪ガキのような笑みをサクラに向け、ナルトは静かに目を閉じた。
「ナルトォッ!!」
「じいちゃん!!」









 忍の世に、これまでにない平穏を齎した1人の男がいた。
 九尾という凄まじい妖を身の内に封じられ、虐げられた男はしかし、自身の境遇に嘆くことなくただ真っ直ぐ前を見据えていたという。
 そんな彼の生き方は様々な人間に影響を与え、いつしかそれは忍の世界全てに広がっていった。
 戦なくば存在意義はないとされた忍を新しい形で世界に認めさせ、忍の新しい時代を築いた功績はこれからもずっと語り継がれていくことだろう。
 優しい男であったと、人は言う。
 太陽のような男であったと、人は言う。
 忍の世を照らした男の名は、うずまきナルト。


 波乱万丈であった、うずまきナルトの人生に。


 世界に名を轟かせ、里の全ての人間に尊敬された偉大なる火影の人生に。


 ―――今、幕が下りる。









 ・・・・・・はずであった。




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